弊社出資先であるASEMtech株式会社は、2025年4月に実施したシリーズAラウンドにおいて、総額2.5億円の資金調達を完了しました。
ASEMtech社の技術は、「見えないものを、壊さず・早期に・定量的に可視化する」革新的な技術であり、医療・産業の現場における新たなスタンダードの創出が期待されています。
今後は、医療機器としての薬事申請に向けた体制整備を本格化させるとともに、産業分野への展開も本格的に推進していく方針です。
弊社は、社会的インパクトを持つ先端技術の商業化を重点領域と位置づけ、持続可能な成長と社会課題の解決を両立する投資活動に取り組んでいます。
なかでも「健康寿命の延伸」や「安心・安全な社会の実現」に貢献する技術の社会実装は、重要なテーマの一つと考えています。
ASEMtech社の挑戦は、医療と産業という二つの基幹分野において新たなスタンダードの確立を目指すものであり、弊社の投資哲学と極めて高い親和性を有しています。
今後も共創的なパートナーとして、長期的な価値創造に取り組むとともに、同社の更なる成長を支援してまいります。
■概要
項目 | 内容 |
出資先企業 | ASEMtech株式会社(2023年設立) |
調達金額 | 総額2.5億円(シリーズA) |
参加投資家 | みらい創造インベストメンツ(リード)、BPキャピタル、レオ電子、クオンタムリープベンチャーズ |
資金使途 | 臨床研究推進、薬事申請準備、産業機器の市場展開 |
■弊社とASEMtech社との関わり
ASEMtech社は、東京農工大学の研究成果を起源とする大学発スタートアップであり、先端技術の社会実装を目指して設立されました。
弊社は、シードラウンドから継続して同社へ出資し、学術的バックグラウンドを持つ先端技術の事業化を中長期的な視点で支援しております。
同社が構想する「大学技術 × 医療応用 × 非破壊検査」という多分野融合型の挑戦に対して、弊社は技術理解と事業戦略の両面から伴走しています。
今回のシリーズAラウンドにおいても、東京農工大学発の研究成果を基盤とした事業の社会実装、ならびに医療・インフラ両分野への応用可能性に共鳴し、引き続き伴走型の支援を行ってまいります。
■ASEM法の技術的優位性
ASEM法=超音波による“状態”の可視化技術
従来のエコー画像が“形”を映すのに対し、ASEM法は“性質”を捉えます。
超音波で生体組織や産業素材から発生する電磁信号を検出・解析する革新的センシング技術「ASEM法」を活用し、医療機器および産業用非破壊検査装置の社会実装を進めています。
簡単に申し上げますと、ASEM法は、従来の画像診断では見えなかった「劣化の兆し」を、切ったり取り出したりせずに、その場で“質”として捉えられる技術です。
たとえば、生体組織においては、細胞が傷ついたり老化すると「線維化(コラーゲンの異常蓄積)」が起こります。これは病気の進行サインであり、「線維化=悪化の証拠」と言っても過言ではありません。
ASEM法は、このような線維化の“起こり始め”の段階まで捉えることができます。
これまでの検査技術では、組織が「千切れてしまった」ような重篤な段階でしか異常を把握できないこともありましたが、ASEM法ではその手前──たとえば組織が伸びてきている、変質の傾向が見え始めている──という“未病”の状態を検出できます。
さらにこの技術は、医療に限らず、インフラや産業素材にも応用が可能です。
構造物を取り出したり壊したりせずとも、中の劣化状態や構造的な“疲労の兆候”を把握できるため、メンテナンスや事故予防にも大きく寄与することが期待されます。
特徴 | 詳細 |
非侵襲 | 組織損傷なく状態の変化を検出できる |
定量性 | コラーゲン繊維の状態を数値化 |
応用範囲 | 医療(整形・循環器・がん)/産業(鉄鋼・EVモーター) |
■関連リンク
- ASEMtech公式サイト
- 本件のプレスリリース全文(PDF) ASEMtech公式サイト
- 支援機企業一覧(BPキャピタル)