Vol.3:持続可能な地域の活性化に向けて
GOOPASSは、カメラを軸に“体験”を届ける企業として、地域とともに新たな関係性を築いてきました。
前回の第2回は、能登との出会い、そして震災という予期せぬ出来事に直面しながらも、地域との共創を諦めなかった姿をご紹介しました。
最終回となる今回は、GOOPASSが描く「持続可能な地域活性化」の姿、そしてその実現に向けた具体的な構想についてお話を伺います。
<「週末をGOOPASSで」──体験を軸にした新たな地域連携>
BPC:震災を経て、御社の地域との関わり方も、さらに深まっているように感じます。
今、どのような構想を描いているのでしょうか。
高坂(GOOPASS):これまでは単発のイベントを実施することが多かったのですが、今後はもっと“地域の中に仕組みをつくる”ことに注力したいと考えています。たとえば、旅行者が自ら体験を設計できるように、「地域マップ付きの旅プラン」を販売したり。
BPC:マップを手に持って、カメラを借りて、実際に歩くことで地域とつながっていくのですね。
高坂:はい。そして、それを地元の人が運営できるようなモデルにしたいんです。たとえば、地域おこし協力隊の方が撮影ガイドを担当したり、地域のフォトグラファーがインバウンド対応をしたり。「外からの人が地域にお金を落とし、地元の人がそれを支える」仕組みをつくっていきたいです。

<“何もない”が価値になる時代に>
BPC:インバウンド需要も高まっていますね。都心や有名観光地ではない、“静かな場所”に魅力を感じる外国人観光客も増えています。
高坂:おっしゃるとおりです。今は「何もない」のがむしろ贅沢だという価値観もあります。だからこそ、能登のような“余白のある場所”で、高単価な体験型ツーリズムを設計したいです。たとえば、海辺でコーヒーを飲みながら撮影して、夜は地元の人と語らう──そんな時間そのものを商品にできると思っています。
BPC:GOOPASSさんは、「カメラを借りる」から、「時間を借りる」サービスへ進化しようとしているのですね。

<“心の教育”とウェルビーイング経営>
BPC:最近、教育との連携や、ウェルビーイング経営にも力を入れておられると伺いました。
高坂:はい。たとえば金沢では、教育機関と連携して、カメラを使った「心の授業」を展開しようとしています。自己肯定感を育むことが目的です。これはビジネスというより“使命感”に近いですね。


BPC:GOOPASSさんは、プロダクトだけでなく「こころ」の価値にも踏み込んでおられる。
高坂:私たちは、「モノ」「コト」「ヒト」そして「ココロ」すべてを通じて、暮らしを豊かにしたいと思っているんです。その意味で、地域と連携する意義はますます大きくなっていると感じます。
<投資の先にある“共創”のかたち>
BPC:GOOPASSさんとの取り組みを通じて、私たちも「投資とは何か」を改めて考えるきっかけになりました。単なる資金提供ではなく、“地域を信じて共に未来をつくる”ということの重みを実感しています。
高坂:本当にそうですね。御社から出資いただいたことで、現地の方々と直接対話できるようになり、僕ら自身の意識も変わりました。あの出会いがなければ、ここまで地域と本気で向き合えていなかったと思います。
BPC:ありがとうございます。これからも、GOOPASSさんの挑戦を支えながら、私たち自身も学び、伴走していきたいと思います。
<エピローグ──「地域とともに、未来をつくる」>
GOOPASSが描くのは、カメラという“モノ”の提供を超えた、「地域の中で人が動き、つながる仕組み」の創造です。
その背景には、企業としての戦略だけでなく、「写真で地域の魅力を発見し、誰かと共有したい」という、高坂氏の純粋な想いがあります。
BPキャピタルは、そうした想いに共感し、出資とともに“共創の土台”をつくってきました。
投資は、結果を買う行為ではなく。未来を信じる行為だと私達は考えます。
高坂さんの話しを聞いて、GOOPASSの挑戦はまだ道半ばと感じました。
こうした企業とともに歩む中で、私たち自身もまた、地域と投資の新しい関係を描いていきます。
取材協力
・高坂 勲(たかさか いさお) GOOPASS株式会社 代表取締役
・1983年、神奈川県生まれ。新卒で大手通信会社に入社後、医療IT系スタートアップの創業初期に参画。その後、長年の趣味だったカメラの可能性に着目。自身が考案したサービスが某アクセラレータプログラムでファイナリストに選出されたことを機に独立を決意。
・2017年4月10日(“フォトの日”)にカメラブ株式会社(現GOOPASS株式会社)を設立し、代表取締役に就任。カメラ機材のサブスクリプションサービスを通じて、誰もが表現と発見のきっかけを得られる社会の実現を目指している。
構成・文責:BPキャピタル オウンドメディア
・関連情報:BPキャピタル支援企業(https://bpcapital.co.jp/portfolio/)